確定申告の時期が近づくと、友人や知人との間で「確定申告ってどうやるんだっけ?」「分からないところをアドバイスしてほしい」などの会話が増えてきます。SNS上で無料の質問を受け付けているケースも少なくありません。しかし、実はこれらは違法になる可能性があることをご存じですか?
違法かどうかのポイントは、税理士資格があるかないかです。本記事では、確定申告の手伝いは本当に違法なのか、その理由や無資格者によるアドバイスのリスク、違法となる具体的な相談や頼るべき相談先などについて詳しく紹介します。
すべての手伝いやアドバイスが違法になるわけではありません。しかし、違法になるラインとならないラインの明確な線引きが理解できていないと、予期せぬトラブルが生じてしまうことも。ぜひ本記事でお伝えする情報を参考に、安全に正しく確定申告ができるようにしていきましょう。
確定申告、知人や友人に手伝ってもらってもいい?|税理士法違反の可能性

確定申告について、あまり理解できておらず分からないことが多いという場合、友人や知人、親族などに手伝ってもらおうと考える方も少なくありません。
しかし、実は税理士以外に確定申告についてのお手伝いや代理を依頼するのは「税理士法違反」という違法行為に該当する可能性があります。
確定申告に関する相談なども含まれる税務相談は、税理士や税理士法人だけがおこなえる独占業務です。具体的には、主に下記のような3つの業務があります。
・【税務代理】
確定申告、申請、不服申し立て、税務調査の立会いなどの手続きを、本人に代わっておこなう業務
・【税務書類の作成】
確定申告書、法人税申告書、各種届出書など、税務署や地方自治体に提出する公的書類を本人に代わって作成する業務
・【税務相談】
「税務代理」や「税務書類の作成」などのように、実際に税務署などへ赴いたり書類の作成はしないものの、確定申告、節税対策、法人・個人の税金計算など、個別具体的な税務の疑問や悩みについて専門的なアドバイス業務
例えば、個人の所得税や相続税などに関する具体的な相談や、各税額から控除できる税額の確認、課税標準の計算方法を教えたりということもすべて税務相談になり、もちろん、確定申告の手伝いも含まれます。
このような業務は税理士の独占業務です。税理士資格がない人物からのアドバイスや手伝い、代行などは、知識があっても税理士法違反となり、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられることもあります。
たとえ無償でも、税理士以外が確定申告に関する手伝いやアドバイスは禁止されているため、安易に依頼しないよう注意しなければいけません。
無資格者による手伝いやアドバイスのリスク

気心知れた知人や友人であれば、分からないことも聞きやすいと感じる方も多くいます。しかし、税理士資格のない無資格者によるお手伝いやアドバイスは様々なリスクがあり、想像以上に大きな問題になってしまうことも。
【無資格者による手伝いやアドバイスのリスク】
誤った申告による修正・追徴課税
節税のつもりが脱税に
上記2つは、特に大きなリスクになる可能性が高い項目です。具体的にどのようなリスクになるのか、それぞれについて詳しくみていきましょう。
誤った申告による修正・追徴課税
税理士資格のない方の知識不足により、誤った申告をしてしまうリスクがあります。税制は毎年変わるため、正しい知識が欠かせません。
しかし、詳しい税制を理解できておらず、古い情報や誤った解釈で計算してしまい、本来納めるべき税額より少なく申告してしまうことがあります。申告を誤った場合、後日税務署から連絡が入り、修正申告しなければいけません。
修正申告することで延滞税や加算税など余計なコストがかかってしまい、通常以上の税金を納めなければいけません。また、再度税務署へ行かなければいけなくなるなど、金銭的にも体力的にも無駄な手間がかかってしまうでしょう。
節税のつもりが脱税に
無資格者の悪意あるアドバイスなどにより、節税のはずが脱税とみなされてしまうことがあります。
「これは経費になる」「隠せばバレない」といった違法なアドバイスに乗ってしまい、気づかないうちに脱税してしまっていることも。
結果として、本税に加えて最大40%の「重加算税」や延滞税などが追加で徴収されたり、悪質な場合、逮捕や実名報道されたりというリスクがあり、社会的信用をなくしてしまうことになりかねません。
たとえアドバイスを受けておこなったとしても、責任はすべて納税者本人にあります。
また、誤ったアドバイスで損害が出ても、無資格者相手に損害賠償請求など責任追及するのは時間も手間もかかり、実質的に難しいケースが多くあるため、現実的に難しいでしょう。
違法となる具体的な相談や作業のライン

具体的にどのような竿団や作業が違法になるのか、ここで詳しくみていきましょう。主な内容は下記の通りです。
・個別での具体的な税務相談具体的な質問に対する回答
・税務書類の作成・提出
・電子申告の代理入力・送信: 無資格者が代わりにパソコンで申告データを送信
・SNSやブログでの相談対応:特定の個人の質問に対し、税金計算や申告方法を具体的に回答
・脱税に関する指示や相談:脱税を目的とした相談や方法の指示
脱税を目的とした相談や方法の支持は明らかな法律違反です。
しかし、それ以外にも、「税金がどのくらい安くなるのか」「経費で落ちるのはどこまでか」などの質問に対する回答や、申告書の作成や計算、提出を納税者に代わりおこなうこと、電子申告の代理入力や送信も、違法となる可能性が高いので注意してください。
また、SNSやブログなどで確定申告に対する質問などを受け付けているケースがあります。
質問に対し、税金計算や申告方法を具体的に回答した場合、回答者が無資格であればこれも税理士法違反の可能性があります。
このような質問をする場合、相手が資格を有しているのかしっかりと確認するようにしましょう。
無資格者による手伝いやアドバイスが発覚する5つの理由

無資格者に手伝いやアドバイスをしてもらった場合、黙っていても税務署にバレてしまう可能性が高く、発覚した場合重大なペナルティが課せられます。
税務署にばれてしまう原因として挙げられる主な原因は、下記の5つです。
・支払調書などのデータ
・銀行口座の動き
・税務調査
・情報提供(タレコミ)
・不自然なほど完成度の高い書類
支払調書は、企業などが支払った報酬に関するデータが記載されており、税務署への提出が必要です。そのため、誰に誰がいくら支払ったのか、という点を税務署は正しく把握しており、申告内容との相違があればすぐさま調査がおこなわれます。
さらに、税務署は銀行口座の動きも把握できるので、もしも怪しい入金や売上の隠蔽などがあった場合すぐバレてしまうでしょう。
それ以外にも、申告内容に不審な点がある場合も税務調査がおこなわれ、その結果、無資格者によるお手伝いやアドバイスが発覚するケースもあります。
第三者からの情報提供によって発覚することも少なくありません。
また、税理士が関与した場合、申告書には「税理士署名」があります。しかし、署名がないのに複雑な処理がされていたり、難しい内容のはずなのに完成度が異様に高い場合、税務署に怪しまれる可能性もあります。
無資格で有料アドバイスをしている人物や業者は、税理士会や国税局から調査・マークされている可能性があり、その顧客リストから芋づる式にバレることも!
確定申告書の作成が代理人でも認められるパターン

どうしても自分で確定申告の書類が作成できない場合、代理人が認められるケースがあります。逆に言えば、ここで紹介する場合以外に代理人による手続きなどは認められないため注意してください。
【確定申告書の作成が代理人でも認められるパターン】
税理士に正式に依頼する場合
本人が成年後見制度の対象となっている場合
代理人が認められる2つのパターンについて、詳しくみていきましょう。
税理士に正式に依頼する場合
確定申告書の代理作成は、基本的に税理士のみに認められています。そのため、税理士に正式に依頼すれば違法にはなりません。
通常の場合、依頼すれば確定申告書の作成から提出までを一貫してお願いできますが、場合によっては作成だけ依頼して、提出は自らおこなうというケースもあります。
税理士への依頼は、「業務が多忙で時間が取れない」「確定申告に関する知識が乏しくどうすればいいか分からない」という方がほとんどです。個人事業者はもちろんのこと、会社から給与を受け取っている人でも、株式投資の利益の申告や所得控除の適応などのために依頼することもあります。
本人が成年後見制度の対象となっている場合
税金を納めるべき本人が成年後見制度の対象の場合、確定申告書の代理作成が可能です。
本人に障害や認知症があり、契約や手続きを自分の意志でできない場合などは、意思決定をサポートする人が代理で作成・提出が可能です。
また、本人が未成年の場合、必然的に親に代理権が与えられているため、子供の代わりに確定申告ができます。
どちらの場合も、民法に沿った代理となるため、税理士法違反には該当しません。
確定申告書の提出を代理人に任せる具体例

確定申告書の提出を代理人に任せる場合の具体例を2つ紹介します。
【確定申告書の提出を代理人に任せる具体例】
本人が海外にいる場合
何らかの事情で本人が提出に行けない場合
どのような状況なら代理人に依頼できるのか、詳しい内容を下記でチェックしてみましょう。
本人が海外にいる場合
仕事などの関係で納税者本人が海外にいる場合、確定申告書の提出、税務署からの書類受け取り、納税や還付金の受け取りなどを、納税管理人におこなってもらう必要があります。
納税管理人とは、納税者本人に代わって確定申告書の提出、納税や還付金に関する事務手続きをする代理人のことです。
下記のような状況に該当する場合、海外に住んでいても所得税の課税対象となるため、納税管理人を定める必要があります。
・日本の証券会社の口座を保有しており、株式の配当金収入がある方
・日本にある自宅を売却し、譲渡所得を受け取った方
・保有している日本の不動産を賃貸として貸し、賃貸収入を得ている方
・日本の保険会社と契約した保険の満期保険金を受け取った方
上記のような所得があった場合、確定申告するために納税管理人を定めます。
納税管理人になるためには特別な資格などは必要なく、税理士でなくても問題ありません。家族や友人など、身近でお願いできる人がいれば依頼しましょう。
何らかの事情で本人が提出に行けない場合
例えば病気で療養中であったり、事故で入院中であったりなど、何かしらの事情で確定申告書の提出が不可能な場合、代理で提出を依頼する必要があります。
納税者本人が作成した確定申告書を提出するだけであれば、家族でも問題ありません。
例えば「自分の分を提出するついでに家族の分も一緒に持っていく」「税務署の近くに用事があるのでついでに家族の確定申告書を提出する」などでもOKです。
もしも本人が確定申告書の作成が難しい場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することで申告期限の延長が可能です。
申請が通り延長が認められた場合、延長の理由と事情が解消されてから2か月以内が延長期間となります。
確定申告に関する相談はどこにするべき?正しい相談先5選

確定申告に関する相談は様々な場所で受け付けています。「友達だから」「手軽だから」という理由で無資格者に依頼すると、後々大変なトラブルにつながってしまうため、必ず正しい相談先に依頼しましょう。
確定申告に関する主な相談先は下記の通りです。
| 相談先 | 相談可能内容 |
|---|---|
| 税務署(国税局電話相談コーナー) | 制度の解釈や手続きの一般的な疑問について電話での相談が可能 |
| 税務署(確定申告会場) | 確定申告に関する相談・作成・提出などの一連を対面でおこなえる |
| 市区町村役場 | 所得税住民税、特に還付申告などに関する身近な相談が可能で最も身近な窓口 |
| 税理士・税理士会 | 複雑な案件や個別ごとの具体的なアドバイスなどが受けられる |
| 国税庁(チャットボット・税務職員ふたば) | 確定申告に関する相談が24時間可能なAI |
税務署での対面相談は、主に2月から3月に開催されることが多くあります。事前の予約が必要なケースもあるので、必ず確認するようにしましょう。
相談期間近くになると、チラシが配布されたりお住いのエリアごとにお知らせなどが届くこともあります。
税務署での相談は基本的に無料ですが、税理士・税理士会の場合は有料となることが多くあります。一度電話などで確認しておくと安心です。
確定申告のアドバイスに関するよくある質問

確定申告のアドバイスに関して、特によくある質問を3つピックアップしました。
【確定申告のアドバイスに関するよくある質問】
無償で手伝ってもらっても違法になる?
確定申告書の「提出」だけお願いしてもいい?
税理士じゃない友人や知人に代理をお願いしたらバレる?
予期せぬトラブルを回避するためにも、しっかりと内容を把握しておきましょう。
無償で手伝ってもらっても違法になる?
なります。
無資格者から税額計算や節税に関する専門的なアドバイスを受けたり、書類作成を無料で依頼したりなどは、税理士法違反となる可能性が非常に高いため危険です。
有償・無償関係なく、税理士資格がない人が具体的な税務相談をすること自体が違法になるので、たとえ無償でも受けないようにしましょう。
確定申告書の「提出」だけお願いしてもいい?
提出のみであれば違法になる可能性は低くなります。
納税者本人が作成した書類を単純にポストに投函したり、税務署の窓口に提出したりするだけなら、家族や友人などに依頼しても違法にはなりません。
違反となるのは、無資格者が提出書類を代わりに作成したり税務相談をすることです。本人が作成した書類があれば誰が提出しても問題ないので、どうしても仕事などで都合がつかない倍は周りの人にお願いしましょう。
税理士じゃない友人や知人に代理をお願いしたらバレる?
バレます。
例えば、無資格者による確定申告書の作成は、税務の判断に誤りが生じやすく、異常な数値や項目が見つかりやすい傾向にあります。
また、税務調査の結果、質問への回答が支離滅裂だったり、提出書類が専門的な体裁を成していなかったりすることで、無資格者が関与していることが発覚するケースもあります。確定申告書の作成を依頼すること自体は違法ではありませんが、無資格者がおこなうことは認められていません。
第三者が作成した場合、税務署は委任状や書類作成者を確認します。税理士の記名や捺印がない場合は税務調査の対象になり、その結果、無資格者が作成したことがバレてしまいます。
まとめ

確定申告は、正しい税金を納めるために必要な大切な続きです。しかし、申告書の作成は難しく、特に初めて作成する場合は分からないことだらけでどうしたらいいか悩んでしまうというケースも珍しくありません。
「無料で相談受けます」というSNS上での謳い文句を信用したり、資格がない友人から「慣れているから教えてあげるよ」など言われることも少なくありませんが、その結果、税理士法違反に触れてしまう可能性があるため注意がひつようです。
本記事では、税理士法に触れてしまう行為やリスク、無資格者による手伝いが発覚してしまうケース、代理人作成が認められるケースや正しい相談先などについて詳しく紹介しました。
確定申告は難しく複雑で、できるだけ簡単に済ませたいという方も多くいますが、後々大きなトラブルにつながってしまうこともあります。必ず正しい場所に相談し、問題ないように手続きを進めていきましょう。

